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第一章☆申込代行業者

1993年のことでした。当時、私は都内にある会社の寮に住んでいました。
いずれは寮を出て自由な暮らしがしたいと考えていた、私と同僚のKは、何度となく寮の郵便受けに投げ込まれていたハガキに注目したのでした。
そのハガキには、
「○○住宅サービスセンター」

といういかにも公の機関らしい社名と、
2Kくらいの間取りで家賃4万程度

といううたい文句が!!

地方から出てきて、家賃相場にうとい私達でも、これが安いということくらいは理解できました。
そのハガキには、希望の沿線や間取り、家賃を挙げて申し込めば、希望の公団に入れるというようなことが書いてありました。
すっかり乗り気になった私とKは、休日を利用して早速その会社に行ってみることにしました。

そして休日。その会社はK県のとある住宅街の中にありました。
外見は普通の不動産屋風です。
中にはいってみると、順番待ちの夫婦や、説明を一生懸命受けている子連れの家族がいます。
私達は、お茶をすすめられつつ、事務所の人から説明を受けることになりました。
話によれば、希望の最寄り駅、沿線、家賃、間取りなどを書いて申し込めば、かなりの確率で公団・公社の抽選にあたるというものでした。
申込金額は4.5万円で、1年間の申込を代行してやってくれるとのこと。

沢山の人が当選したという証拠らしい、分厚い伝票の束をみせられました。
伝票には、この事務所に申し込んだ人の名前と、希望の間取りや家賃、希望沿線などが記述されており、そのほとんどに”当選”のハンコが押してあったのでした。
「ウチは当選の確率が高いのよね〜」(当センター員談)

私とKもだんだん乗り気になってきました。

しかし、公団・公社の申込みをする為には色々と条件があって、広い間取りの部屋を希望する場合は、収入も良くなければならず、2K以上の部屋などは一人で住む為に申し込むことは出来ないとのことでした。
しかし、収入の問題は、この申込代行業者の社員として申し込めば、あっというまにクリアでき、一人で広い部屋に住みたいという条件も、郷里にいる両親を呼んで一緒に住むという形で申し込めば、大丈夫だと説明されました。
話を聞けば聞くほど、なんだかすぐに当選して快適な公団(公社)に引越しが出来そうな雰囲気です。

私達はかなりその気になりました。しかし、4.5万円という金額は貧乏会社員の私達にはかなり大きく、しかも手持ちは各自1万円くらいしかありません。(^_^;
それに、乗り気になったとはいえ、確実に当選するという保証のないものに4.5万もつぎ込むのはちょっと・・・という気持ちもありました。

その時、時刻は丁度昼すぎ。

申込代行業者の人は、躊躇している私達をせかしました。
「(手持ちのお金がないなら)今から銀行に行ってお金をおろしてくればいいのよ」

確かにそうです。
しかし、そこで私は思いました。
「ここで全額払ってしまうのはまずいかも。」
でも、ここまで来て何の収穫もなしで帰る気にもなれません。
やはり快適な住まいは魅力的なのです。
そこで、私達は各自、1万円を財布の中から出し、申し込み金として支払ったのでした。
申込書類には、

「一旦納入された申込金は、いかなる理由があっても返却しません」

とあり、その時一抹の不安がよぎりました。
私達は、1万円を払ったあと、公団・公社に関する書類のコピー(今考えると、これはかなり古い住宅募集案内書のコピーでした)を一式もらい、帰宅しました。

帰宅して冷静になり改めて考えてみて、だんだん不安になってきました。
不安になったのは、申込の際に、ウソをつかなければならない点です。
本当は一人で住むのに、いかにも親と住むようなことを書いたり、収入も規定に達しないのに、さも達しているかのように書かなければならない点です。

そんなことをして申し込んで本当に当選するんだろうか?

私はかなり不安になってきました。

そして月曜日。不安が募り募った私は、思い余って
「消費生活センター」に電話しました。
ここは公の電話相談窓口で、通信販売や訪問販売、キャッチセールスなどさまざまなトラブルの相談にのってもらえるところです。

相談の結果、この会社は数多くある「申込代行業者」の一つで、

公団・公社とは一切関係がないこと、また違法ではないが4.5万という手数料は
高すぎるといわれてしまいました!(;_;)
また、公団・公社への申込時に、収入や同居人を偽って申し込むというくだりは、明らかにおかしいので、それを理由に解約をするようにと言われてしまいました。(T_T;
そして、解約しても、申込時に払ってしまった1万円はおそらく返ってこないだろうとも。。。
私は早速Kにこのことを伝えました。そして、消費生活センターの相談員の指示に従って、私とKはさっそく解約の手続きをとることにしました。

以下が代行業者に簡易書留で郵送した解約通知(ハガキ)の文面です。

契約解除通知

去る平成五年○月○日、私、○○ ○○は、××住宅サービスセンターへ出向き、公団・公社への入居申込手続き代行の依頼を致しました。

その際に、私の収入が、月○○万円で、貴社の担当者の説明による、公団の申込者の収入基準の31万円を満たしておらず、申込ができないので、私を貴社の社員として、申込をするということにしました。ですが、後でよく考えてみたところ、そのような形式で申込をするという事に不正な疑問を感じましたので、これを理由に解約の意思表示を致します。

つきましては、依頼の際に入金致しました、¥10,000−を下記の口座に返金して下さるよう、お願い致します。残金35,000−につきましては、支払わない事を主張致します。

振り込み口座 △△銀行 ◎◎支店 ××××××××××

平成五年○月×日


このハガキを出してから数日後、申込代行業者から、会社(申込時に会社の電話番号も教えていたのです(^_^;))に電話がかかってきました。
しかし不在だった為、直接話をすることはなく、また消費生活センターの人から、電話で言葉巧みにまるめこまれることのないよう、こちらから連絡をとらないようにと言われていたので、その後数回あった電話も取り次いでもわらないことにし、こちらからも電話しませんでした。

その結果、残金3.5万は支払わなくて済みましたが、そのかわり1万は永遠に戻って来ませんでした。。。。。

ちなみにその後、公団の申込方法について、きちんと確認してみました。
「公団住宅のご案内」なる冊子の表紙にはしっかりと、

※当公団と「申込代行業者」とは、一切関係ありませんので、ご注意ください。

と印刷されてありました。
そして、

自分で1年間、公団・公社に申込続けたとしても、その費用は数千円にしかならない


ということがわかったのでした。。。。

今更ながら、4.5万円という金額はかなりばかばかしい金額だということがわかります(^_^;)
公団の人にも聞きましたが、「申込代行業者」に頼んだからといって、当選の確率があがるわけでもなんでもない、とのことでした。

まあ、数ヶ月ごとに募集要項を買ってきたり、新聞や公団・公社の広告をチェックして、申込ハガキに書いて・・・ということを自分でやるのがイヤな人には、申込代行業者というのは便利なのかもしれませんが、それにしても4.5万は高すぎますよね(^_^;)
それにしても、あのとき○○住宅サービスセンターに居た、子供連れのご夫婦の方たちは、それを知っててあそこにきていたんでしょうか。。。きっと知らなかったんじゃないかと思います。

公団・公社への申込は自分でやりましょう(;_;)


公団についての情報は、都市基盤整備公団(旧 住宅・都市整備公団)のホームページを見てくださいね。(^_^;)


ちなみに、その時の会社は今も実在します。。。。(^_^;)


公団・公社と申込代行業者のトラブルについてのページ

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